ドンド子日記

23区内住み、共働き世帯の初めての子どもに関する雑記

「育休世代」のジレンマを読んで

 

◇はじめに

こんな本を読んだのでその感想ブログです。

www.kobunsha.com

 

東京都の第一子出産年齢の平均が31歳らしい。私もちょうど今年で31歳で子どもを産みました。働くことは頑張ったし、それなりの信頼もあると思う。

でも育休復帰明けで自分が活躍できる自信がモリモリあるかというと全然ない。

 

だって活躍してる方って周りにはこんな人しかいなかったから。

・旦那さんはそこそこ、近くに自分の実家があり実親やきょうだいという頼れるリソースがある×営業のスペシャリストであり根性あり

・旦那さんと育児に関する時間調整は半々×本人は営業の鬼

・旦那さんはそこそこ×時短がしやすいような営業職の一部を担うポジションで時間が来たら同僚、上席に投げることもできる。

そんな環境もなければ、そこまで突出したなにかもない!笑

 

あと、産休中、子どもを何人か生んだママさん社員が退職との話が何人もいて・・・

その時に出会った本がこの「『育休世代』のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか」でした。

 

2020年に女性管理職30%にするといっていたが、結局7.8%だったらしい。

帝国データバンク調べ

国単位で女性活用に失敗し続けている日本で、女性の離職タイミングの最たるものである、妊娠を経験し、育児をしているのでまず読んでみようと思ってよみはじめました。

 

◇ざっくりとした内容

・出産後に就業継続の意欲があった女性たちでさえ、出産後もしくは育休後の復帰を経て会社を辞めている。

・なぜそうなるのか?2000年代前半に総合職として入社し、その後出産した15人の女性のインタビューや、ライフヒステリーの分析を通して明らかにしようとした本

 

・筆者の答えは「出産、育児をしても継続できるような環境(職場・家庭・それ以外のサポート)を自ら選択していないから。」

 

・その背景は「教育の場で理想主義的に進んだ男女平等や、現在の社会のシステムからのプレッシャー※により女性である不利益を予測しにくかったり、女性であるからと特別な選択をすることへの嫌悪感が植え付けられたりしたこと」

ネオリベ・競争社会が背景。筆者はこの言葉で言及していないけど「自己責任論」とのリンクがピンときた。

 

・理想的な社会は「男だから、女だからと方向づけられることなく自由に仕事が選べる世界」ただ、現実世界は、女性の多くが担当してきた仕事である「ケア労働」は低賃金が無賃金であり、企業で働く正社員多くは男性。(非正規雇用は女性が多い)

 

しかし、女性が男性と同じように働くことを良しとして、ケア労働に女性が向かわないように、今男が働くように女も働けるし、働くことが良いことだ目指すべきことだと、現実に目を背けようとさせられている。

 

◇印象に残ったことば

「女性の働きやすさ」を嫌悪したり、無視したりする女性たちは、(中略)むしろ積極的に女性らしさを切り捨てることで、男性が圧倒的に多い世界の中での競争や、「女らしい女性が損する社会」を生き延びようとしてきたと捉えられる。(中略)(中略)

筆者はこれをまとめて「逆転したジェンダーの社会化」と言っています。

 

これめちゃくちゃ世の中でみますよね。Twitterでよくワーママvsゆるキャリママvs専業主婦ママとかよくありますがまさしくこれ。結局、どうしても男社会の中で敵にすることで自分を守ろうとする気持ちが働いた結果であり、本当の敵はその男社会という。

 

◇思ったこと

①個人として

男女格差がある現状を認めつつ、観察しつつ、「格差なんてないから頑張れば同じように働けるのに、働けないのは努力不足・能力不足」という声を無視しつつ、育休明け図太く働き、働き続けるための道を模索する。

 

この本の中の区分けでいうと私とその環境は対等思考、ただ労働に対する考え方は非常にマッチョです。中間管理職をしていたこともあり「女性だから云々」いわれるのは好きじゃないです。でも社会の構造がこうなっているのに、個人の努力だけであがいて、疲弊するのなんてばからしい。俯瞰してみることが大事。

 

※もちろん働き続けることが必ず良いということではないです。長い目で見て職業人としてやっていくということを、働き続けるといっていて、休みの期間が延びるとか、回数が増えるとか、そういう一時的な中断を問題にしているのではないです。

 

②部下として

上司だって、受け入れビギナー☆現状と配慮してほしいこと、果たす責任と報酬を明確にしてお仕事すべくがつがつコミュニケーションとる。いわないとわかってもらえないと心得る。いわないと不利益な方に進んでくかもと考える。

 

③今後また管理職することになったら

・時間内で成果を出すことが普通の組織づくり。

・評価・処遇に対する柔軟な運用と、その透明性の担保

これはもやもやしていたポイント。うちの企業は復帰後の評価制度を選べ、割と柔軟に対応している方がだとは感じた。でもみんなに納得感が高いかというと、あんまりよくわからず、そうでもない。

 

今のかかわるビジネスが、球数が多ければ成果が出る、一定の球数がないとその率が一定にならないビジネス。どうしても若くて長時間労働できる若手のほうが一定の球数担保できるので成果が出しやすく、時間制限のある人(育休復帰者)は成果が出しにくい。

本当は時間制限のある人は量を質で担保すべく、学びを続ければいいんだけど、若いころ前述のように量でカバーして頭を使ってなかったりする人も多いので質への転換が難しく詰む。一方若手は最初は長時間労働でカバーしていた量で、質への転換ができるようになってきて、短時間でも成果が出せるように。でも基本給のベースは育休復帰者のほうが高い…こんなことが起きてました。

 

これ、もちろん育休復帰者も成果でなくてつらいし、若手からしても「歳をとっても今と同じようにせこせこやらなきゃいけないなんてしんどそう」ってなって悪影響でした。

アイディアベースですが、例えば個人の目標反映分と、組織目標反映分の比率を工夫してその時間内でその求める成果が出る一定の量を担保し、組織に貢献し具合と高い基本給がリンクするような仕組みにもっとなったらなと思っています。

(正確にはそういう仕組みにはなっているが、柔軟な運用ができているかというとそうではない。)

 

④人とお仕事にかかわる仕事をしている人間として

・現実の生生しいダイバーシティーのエピソードをもっと拾えるように

(たいていの企業、例えば女性活躍というトピックならそれにあう事例何個かもっているが、特別な事例を知りたいのではなく、「なんとか頑張っている普通の人」の話がもっと知りたい)

 

・本気で今働けるすべての人材の活用に取り組まない企業はどうせつぶれると思っておいてコアな顧客にはしない。

ずっとうっすらやっていたことですが改めて。

 

◇最後に

触れませんでしたが、この本には「期待されない夫」とか「複雑な母娘関係」「保育園に預ける罪悪感と仕事のやりがいの天秤」とか気になるエピソード満載でした。筆者も触れている通り、アンケートしたゾーンが「一流大を出て、しっかりとした企業に就職し、20代に第一子出産している」という偏りはありますが、それでもいろんな人に共通するあるある話が多くて楽しかったです。